カニおブログ

好きな飲み物はワンラオジーです

美しい島国日本にやってきました(爆買い中国人と共に)

4月11日月曜日、僕は中国の隣の小さな美しい島国、日本の名古屋という都市にいる。ウチの会社の総経理殿(中国人)がどうしても日本のお客様に表敬訪問したいとの事から、何とか先方のシャッチョさんのアポイントを取り付け、こうして遥々日本の名古屋にやって来た。僕はかばん持ち兼トランスレーター兼ツアーガイド兼お買い物アドバイザーという極めて責任の重い任務を仰せつかっている。
さて、今回のアポイント取得には本当に悩まされた。何故なら訪日目的が爆買いアンド爆買いである事が先方に完全に見透かされているからである。当然ながら「ついでに桜も見れたらいいなあ」というスケベ心も見透かされている。「で、何でまた年度始めのこのクソ忙しい時に来るの?」などと言われたらぐうの音も出ない。いや、そこを何とか、今後の御社との中国マーケットにおける協力関係について是非議論を…!と先方の実務層には言ってみたものの、結局は日本のマツモトキヨシ&ビックカメラ&ユニクロのマーケット調査なんだろ(注:弊社は製薬業界でも家電業界でもなければ服飾や小売でも無い)とチクチクと痛い所を突かれたが、幸いな事に先方の部長さんと多少懇意にさせて頂いてた事もあり、度重なる調整の下、今回の訪日が漸く成立した訳だ。そんな事を知ってか知らずか、訪日事前打ち合わせ時、僕が徹夜で作った資料を一通り説明し終えた後、総経理殿から一番最初に飛び出した指示は「このホテルは買い物に不便過ぎる。至急別のホテルを確保すべし」という内容。手元のiPadでしばきたい衝動をグッと堪えながらブッキングドットコムのアプリを開き、あーでもねーこーでもねーとホテルを探したのは想い出深い。こうした紆余曲折を経て今回の訪日と相成った訳である。
取引先のシャッチョさんとの面談時間は朝9:30からのたった30分。爆買い目的バレバレのクソデカいキャリーバッグをゴロゴロ言わせながら先方のビルに到着。椿鬼奴似の受付嬢に案内され、立派な応接室入り、出されたコーヒーを啜りながら先程の受付嬢の年齢が不詳過ぎる事について考え込んでいると、藤岡弘ばりに濃い顔で体格の良いシャッチョさんが登場。ここで総経理殿、僕が仕込んだジャパニーズ挨拶をすかさず繰り出す。「オハヨござまース!ワタシは総経理のチェンでース!ドゾヨロシク!」先方のウケも上々だ。藤岡弘も豪快に笑っている。良かった!さあ僕も精一杯通訳でアシストするので、さあ今こそ弊社の製品をガッチリと売り込むがいい!さぁ!いまこそ…!……。………あれ?何でなにも喋んないの?気不味い沈黙に戸惑っていると、総経理殿から耳を疑う一言が飛び出した。
「…じゃ、後はオマエから話しておいてくれ。オレは日本語が出来ないからな。」
そう僕に言い放つと、下を向いて黙々と携帯を弄り出すのであった。オイちょっと待て。僕はアンタがどうしても来たいって言うから何とかお時間貰って、藤岡弘探検隊シリーズの撮影が忙しい中こうして来て頂いているんだろうが!クソが!と思ったものの、何とか話を繋げねばと思い、僕は天気の話や中国経済の話、はたまた伝説の野人ナトゥーは本当に居るのかという話で場を和ませたのち、下を向いて黙々と携帯を弄り続ける謎の中国人の横で必死に笑顔を取り繕いながらプレゼンを実行するのであった。そしてプレゼン及び質疑応答が終わるや否や、総経理殿は漸く重い頭を持ち上げて、僕が事前に仕込んだジャパニーズ挨拶「マタきまース!サヨナラー!」をにこやかに言うと、早くビッカメ行きたいよ〜と言わんばかりに応接室を飛び出すのであった。2度とオメェとは来ねえよ!!
…と言いたい気持ちをこれまたグッと堪え、僕が藤岡弘に対し、ウチの中国人がすいませんでしたと深々とお詫びすると、藤岡弘は豪快に笑いながら「今度は是非1人で来なさい。大歓迎するよ。君も大変だねえ笑」と言ってくれた。幾ら表敬とは言え、無礼な中国人のたった二言の挨拶の為にこんなに沢山の人が忙しく調整し、お客さんにまで嫌な思いをさせたと思うと恥ずかしさと悲しさで会社辞めちゃる宣言をしてやろうかという衝動に駆られたものの、仮面ライダー1号の優しさに少しだけ涙が出そうになり、何とか踏み止まったのであった。
でも、コイツ本当に殺してやろうという思いが実際に最もピークに達したのは、この時ではなく、帰り際、せっかくなので名古屋名物でも食べて帰りましょう、と総経理殿に提案したのにも関わらず、「博多ラーメンが食べたい」と言われた時でした。